・Wカップ3位決定戦は去年の最強チーム決定戦の組み合わせ。優勝が掛からない試合とあってモチベーションの持って行きどころは難しいが、オリンピックのメダルを例えに出すまでもなく、ポルトガルでは3位決定戦に敗れた2006年のワールドカップよりも3位に輝いた1966年大会が未だに誇らしげに語られている。状況に関わらず両チームのファイトを期待したい。
FCHは最早定番となった感のある4-4-2、マオは中盤で試合を作らせ前線、千鳥の相方は鬼澤。高さのある鞠川、波多野のストッパーコンビだが、高さより足元狙いの綾崎・羽柴コンビをどこまで封じられるかがまず見所。ボランチを含めた守備ブロックには定評があるだけに、なおのこと守備一辺倒になる形は避けなければならない。
WBLは先のSSS戦のオーダーから野崎を千葉に入れ替えた形。攻撃では綾崎、羽柴の連携とともに左に張り出した佐野倉からの仕掛けが鍵を握るが、それは同時に右に作ったスペースをいかに活用するか、ということにも直結している。周囲を使うのが上手い藤崎、井上と並んでいるだけに受け手たる羽柴の積極的な動きが求められるだろう。
(拾)
(12/16 19:00Kick Off 綾瀬中野スタジアム)
SKU HAN
0 - 4
前半 0-3
後半 0-1
得点者
38分 O.G(HAN)
42分 11 赤井←10 高見(HAN)
45分 7 主人(HAN)
74分 12 伊集院←11 赤井(HAN)
警告
なし
WOM
赤井(HAN)
・1G1Aは文句なしだが、先制点となるOGは身長を考えず競りに行ったからこそもたらされたもの。3得点に絡み、スーパーサブだけではなく先発でもやれるところを見せた。
・前半からアウェーHANが押しながら試合は進み、また開始早々にSKUは麻生が負傷、DFラインの再構築を余儀なくされ、序盤は凌いでいたがそれが決壊したのが前半38分。クロスに赤井、野咲が競り合ったがボールはDF野咲の頭に触れてゴール、これがHANの先制点となる。この後、42分にはフリーキックを起点に高見に繋いで最後は赤井。さらに前半ロスタイムには主人がFKを直接捻じ込む。後半にも一点を加え、危なげなく寄り切った。
SKUは麻生の負傷によりDFラインに混乱が生じたか、しかし10分足らずで3失点は頂けないところ。集中して守る意識が必要となるだろう。攻撃の方ではワントップ来須にボールが納まる展開を作れなかったこともあって厳しい内容となってしまった。
HANは前半終了間際に集中砲火を重ねて試合を決めた。現在首位のSCMとの関係だけにフォーカスしてみると残り2試合全勝、かつSCM全敗、さらに2試合で7点以上の得失点差をつけることが優勝条件となり、あまりリアリティがない…といいたいところだが、HANはセカンドステージに限ってみても4点以上を取って勝利がこの日を含めて二回あり、順位的にやや下でノーマークとなれば大駆けもあり得る。
(拾)
(12/16 19:00Kick Off ディエトロモンティ)
TLS EWI
0 - 1
前半 0-1
後半 0-0
得点者
25分 9 鬼澤(EWI)
警告
44分 21 扇ヶ谷(TLS)
45分 17 井上(EWI)
WOM
森下(EWI)
・先制点のきっかけになったクロスもそうだが、90分通して右サイドのアップダウンを繰り返して存在感を発揮、逆サイド陽ノ下と共にハーフカウンターの旗手となった。
・立ち上がりからホームTLSがボールを持つ展開なのだが、高い位置で奪われてシュートに持っていかれる流れが続き、「持っている」というよりは「持たされている」と言った方が近い展開に。それでもTLSのGK鞠川は積極的に前に出てクロスを、シュートを阻み続けたが綻びが現れたのが25分。右を抜けた森下の低いクロス、これを鞠川が弾いてしまい鬼澤の目の前に。いわゆるごっつぁんゴールだがEWIは敵地で貴重な先制点。後半になるとEWIが試合のペースを掌握、TLSは付け入る隙がなくなってしまい、3トップにして反撃を試みるがこれも不発、EWIが勝利を収めた。
TLSはあれだけのシュートを打たれながら抑えていただけに、クロスの処理を誤っての失点は悔いが残るところ。ただ今節に関しては攻撃陣が不発だったこともあり、鞠川だけを責めるわけには行かないだろう。これこそが上位のプレッシャーということだろうか。
EWIはここに来て鬼澤に当たりが出てきた。藤堂一辺倒の攻撃に幅が出てきたことは大きい。やはり左に傾かせるツートップよりは中に寄せたほうが二列目以降が前に出やすくなるということだろうか。
(拾)
(12/16 19:00Kick Off マグパイ・パーク)
SSS WBL
2 - 1
前半 1-0
後半 1-1
得点者
32分 9 千鳥(SSS)
74分 5 後藤(WBL)
89分 9 千鳥←16 早乙女(SSS)
警告
63分 13 遠藤(SSS)
WOM
千鳥(SSS)
・残り1分で決勝ゴールは「また勝てない」空気を一掃するKYぶりでチームを2位に押し上げた。
・雨の中、前半からホームSSSがペースを掴み、先制点もその流れからで前半32分、エリア付近で長いボールを競った零れ球を春日が拾って出し、これに千鳥が反応、一人かわして決めた。後半になると攻め疲れたかSSSはペースダウン。急造の3バック、しかも仕切り屋がいないとあって受けに回ると脆さを見せてしまう。WBLが後半に入ってドリブル突破主体に切り替えると高さ対策のアレックス、山本、山崎は運動量で追いつけず、バイタルを支えていた秋穂交代が明暗を分けたのが後半29分。ハーフラインからスルスルと持ち上がる後藤をSSSは誰も止められず、結局ゴール前まで突破。最後はループ気味に決めてWBL同点、二年に渡る相性は伊達ではないことを見せ付ける。こうなるとお互い今季の失点は少ないチーム同士、このまま推移と思えた後半44分。途中投入の早乙女がフォアチェックからボールを奪い、ドリブル突破。エリア手前で併走する千鳥に。千鳥がこれを決めてSSSが雨中の決戦をものにした。
SSSはこれで2位躍進、ただ試合直前に小野寺、並木が急に離脱したのが今のところ不分明で今後に微妙に暗雲か?お家芸たる「お家騒動」にはまだ少し早い気がするが…。
WBLは3連敗と元気がないが、ここしばらくは早い時間帯に失点を許してしまい乗り切れないパターンが続いている。同時に前半で得点が取れていない状態も続いており、ただ失点を少なく、というばかりでなく一試合を通じて長い時間踏ん張って味方の一点を待つ、というスタンスが必要なのかもしれない。
(拾)
(12/16 19:00Kick Off フェンスティエレ・スタジアム)
SCM FCH
1 - 2
前半 0-0
後半 1-2
得点者
69分 11 千鳥←21 鬼澤(FCH)
81分 11 波多野←9 桐屋(SCM)
90分 11 千鳥←18 マオ(FCH)
警告
78分 19 本田(SCM)
WOM
千鳥(FCH)
・2ゴール、そしてロスタイムの決勝点。Wカップ3位決定戦に弾みをつけ、首位SCMに待ったをかけた。
・前半からアウェーFCHが押してはいるが得点には至らず、お互いに見せ場のないまま試合は後半へ。先手を取ったのはFCHで後半24分。この日途中投入の鬼澤が左を突破して低いクロス。これを千鳥が押し込んで先制。試合はこのまま推移し、アウェーFCHの首位いじめなるか、と思われた後半36分。やや引いた位置で受けた桐屋が前線へ軽く叩き、抜け出した波多野のミドルが決まってSCM同点に。こうなると今季試合巧者振りを見せるSCMにとってはドロー上等、に見えたがさらにもう一波乱が起きたのがロスタイム。藤崎からマオと繋ぎ、さらにそのスルーをまたしても千鳥が決め、FCHが土壇場で勝利をものにした。
SCMはシステムが今ひとつ機能していなかった印象。両サイドに張る神条、松浦が今ひとつだったのは彼女ら自身のコンディションによるものなのか、システムとの相性によるものなのかは検証する必要がある。連敗で実に5位までとの勝ち点差は4、リーグの様相は一気に混沌としてきた。
FCHはマオを上げたことで中盤の活性化を出来なかった印象。藤崎にしろ八重にしろ、自身が動くよりは相手を使う、もしくは待つタイプであるだけに膠着した局面を打開するには適していないかもしれない。その中で投入された鬼澤は自身の役割をよく弁えていたということだろう。
(拾)
・新規参入ながら二位への躍進を果たし意気上がるTLS,後半戦負けなしのEWIをホームに迎える。
TLSはようやく、というかとうとう、というか牧原復帰。ただこのところの好調は牧原不在で勝ち得てきていただけに、この決断はやや勇気が要るところ。得点王ランキングに顔を出した風間もスタメン、首位追撃へと落とせない一戦。
EWIはオーソドックスな3-5-2のダブルボランチ型。負傷の藤崎の代役は井上は想定内か。八重に代えて加藤の起用がやや難しいところ。より前に出る推進力を持つのは加藤だが、強さ・高さといったより守備に関する部分では八重に遅れをとることもあり、引いて守りきるのではなく積極的に前に仕掛けて攻め勝つ姿勢が必要となるだろう。
・SKU×HAN
・勝ち点で並んでいることもあって譲れない一戦だが、下位とはいえ2位までの勝ち点差は未だに5。下位に沈まないため、ではなくより上位を目指すためにこそお互いに勝ち点3が求められることもあり、今節もっともハードな一戦になるのではないか。
SKUは勝った後だがあえてオーダーを弄り、来須のワントップ。中盤での押し合いに弱さを見せることもあって、中盤を数で補う構えの4-5-1。これが功を奏するかどうかがまず第一のハードルとなるだろう。ワントップであるだけに二列目以降の積極的な飛び出しが求められる。
HANはEWIに引き分けた前節の結果を重んじてプレッシングを導入、さらにスーパーサブ赤井を先発。前節では終了間際にゴールを決めるなど勝負強さは健在で、ならばこそ大一番への期待は高い。ただ赤井は背が低くロングボールに競る形はあまり期待できないため、高い位置で奪ってのカウンターでスピード勝負に持ち込みたい。
(拾)
・残すところあと3節となったTMリーグ、年間を通じて強さを見せ付けたSCMがホームにFCHを迎える一戦。SCMは連覇を果たすためには連敗だけは避けたいところだが、Wカップ3位決定戦を三日後に控えるFCHも負けて迎えるよりは勝って臨みたい所で、極めて読み辛いカード。
SCMは前節、開始早々に野咲負傷というアクシデントがあり、ほとんどシュートに至れない展開に嵌められたこともあってオプションの一つ4-1-4-1で一新を図る。野咲の代役は天野でエース桐屋をベンチスタートがやや意外だが、この陣形で桐屋ワントップはやや難しいか。高く強い波多野にボールを集め、その零れを上手く狙いたいところ。
FCHはマオ―千鳥のホットラインを前線で組ませるという選択。休養充分ではあるだけに脅威となるはずで、ここで勢いをつけて三位決定戦へと繋げたい。ワイドに押し寄せてくるであろうSCM両サイドを守り切って前線へ展開しなければならないことを考えると、やはり鍵を握るのは両ボランチ。ここが守備に忙殺されるようでは厳しい展開になるだろう。
・SSS×WBL
・首位SCMに公式戦での初勝利を上げて意気上がるSSS、もう一つの関門WBLをホームに迎える。
SSSは並木、小野寺が試合前日の練習に不参加、ベンチ入りもしない模様でまずDFラインには不安が残る。一応鞠川の高さ対策にアレックス、山本を起用するがWBLは井上からの組み立てもあるため、ラインを仕切れる星乃をサイドに起用はやや苦し紛れか。ホームの利を得て先制点を取りたいところ。
WBLはこのところ元気がないが、シュートまでの形はできていることもあり、二年負けなしと相性のいいSSSを叩いていい結果を出し、Wカップ三位決定戦に繋げたいところ。アレックス、山本の守備陣は高さ強さに長所を見せるが、スピードでかき回せばその長所を殺せる。綾崎、羽柴のコンビネーションで突破できれば勝機は見えるだろう。
(拾)
(12/9 19:00Kick Off ルーテシア・パーク)
WBL SKU
1 - 3
前半 0-3
後半 1-0
得点者
8分 99 渡井(SKU)
17分 37 来須(SKU)
45分 O.G(SKU)
87分 11 井上(WBL)
警告
7分 7 千葉(WBL)
35分 16 森下(WBL)
WOM
渡井(SKU)
・挙げた得点は一点だが、3得点すべてに絡む活躍。チームの最下位脱出に貢献した。
・先手を取ったのはSKUで前半8分、九段下のフライスルーを渡井が絶妙な胸トラップでキーパーをかわし、無人のゴールに蹴り込む。10分後には渡井が起点となり来須へ浮き球のパス。マークを振り切ってエリア内、そのまま決めて二点目。前半終了間際にはゴール前の混戦から零れたボールを争って清川が蹴ったボールは自ゴール、痛恨のオウンゴールとなって前半で試合は決まってしまった。WBLは後半猛攻を見せたが、反撃は終了間際の井上のミドルによる1点に留まった。
WBLはもはやシュート欠乏症からは脱しているが、今日は早い時間帯の失点でペースを失ってしまった。ボールを回し、支配することも出来てはいるのだが、攻める時間が長くなればなるほど守る方も慣れてしまうことはあるので、シュート数を稼げるようになった今は、トップ下の部分で攻撃に変化やメリハリをつけることが大事になる。
SKUは攻撃陣では渡井が、守備面ではこのところ続けて起用されているGK本田が結果を出した。後半戦に入って首位SCMを食ったのも含め2勝1敗1分け、徐々に調子を上げ台風の目となりつつある。
(拾)
(12/9 19:00Kick Off モナコ・スタジアム)
FCH TLS
0 - 1
前半 0-0
後半 0-1
得点者
77分 22 志村←24 安藤(TLS)
警告
17分 2 神条(FCH)
74分 15 本田(TLS)
WOM
志村(TLS)
・途中出場でのリーグ戦初ゴールは価値ある決勝点。連勝でチームを2位に押し上げた。
・ホームの利を得てFCHが攻勢をかける序盤だが、TLS音無が負傷によりピッチを出た以外、得点上は動きがないまま前半終了。後半になると段々TLSもカウンターが冴え始め、お互いのゴール前での展開が目立ち出す。それでも得点に動きはなかったが、均衡が破れたのは後半32分。安藤のフライスルーに志村が頭から飛び込んで決めてTLS先制、これが決勝点となった。
FCHは千鳥、マオ両方がいないとやはり攻撃に決め手を欠く印象。ただ放つシュートのことごとくを鞠川に止められ続けたということもあり、これは致し方なしか。首位追撃の好位置につけていたがここに来て足踏み。
TLSは大敗のあと連勝と立て直して2位に浮上。未だSCMとの直接対決を残してもおり、あと一波乱起こしたい。牧原の復帰も好材料だ。
(拾)
(12/9 19:00Kick Off ポートフェリオ)
HAN EWI
0 - 2
前半 0-1
後半 1-0
得点者
24分 8 神戸←17 井上(EWI)
85分 11 赤井←7 主人(HAN)
警告
13分 26 藤井(HAN)
WOM
赤井(HAN)
・この日、EWIゴール前に立ちはだかりシュートを阻み続けた西村の堅陣を破る価値ある一発。スーパーサブここにありを見せ付けた。
・ウインターカップの前哨戦も手伝って、お互い手の内を微妙に隠しながら腹の探りあいで序盤は進む。膠着した試合が動くならそれはやはりセットプレーであり、前半24分。コーナーから神戸が合わせてEWI先制。後半になってホームHANは一点を追い俄然ヒートアップ、苛烈な攻勢を叩きつけていくが、放つシュート、上げるクロスのことごとくをGK西村が制し、HANの攻勢を最後の一線で食い止める。結局EWIゴールは割れず、このままタイムアップも見えた後半40分。途中投入の主人、赤井のコンビが見せ場を作る。主人のショートパスを受けるや否やエリア外から赤井が振り抜き、これが決まって同点。ドローで内容の濃い試合は終了した。
HANはプレッシングを導入したことで中盤の出足がよくなり、ボール奪取が好転したことで攻勢を続けることに成功した。ただ、プレッシングは同時にワイドでオープンな攻撃の放棄も意味してもおり、この先どうするかは興味深い。
EWIは逆にプレスを切ってワイドな攻撃を指向したが、今回は今ひとつ。中盤でのボールロストが目立っており、ドリブルでの単独突破を多用したがその先、フィニッシュにあまり至れなかった。プレスを捨てる形ならスピードのある陽ノ下、神戸を使う形のほうが嵌るかもしれない。
(拾)